自動車整備士資格の3級・2級・1級の違いとは?できる仕事・難易度・取得方法を比較

公開日:2026年7月23日

自動車整備士資格の3級・2級・1級の違いとは?できる仕事・難易度・取得方法を比較

今岡卓也

今岡卓也

2級自動車整備士 / テクニカルスーパーバイザー

「自動車整備士の資格を取りたいけど、種類や仕組みが難しくてよくわからない」
そんな方に向けて、自動車整備士資格の種類や取得方法をわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 1〜3級・特殊自動車整備士資格の特徴
  • 各級の仕事内容・合格率・難易度の違い
  • 働きながら資格を取る最短ルート
  • 自動車整備士資格を取得するメリット
  • 年収アップにつながる関連資格

この記事を読めば、自分に合った資格がわかり、将来のキャリアプランを具体化できます。
「まずはどの資格を目指すべきか」と迷っている方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

自動車整備士は国が認める「一生モノ」の国家資格

自動車整備士は、国土交通省が認定する国家資格です。

この資格を取得することで、ブレーキやエンジンなど車の安全に直結する部分まで点検・整備・修理できるようになります。

自動車整備士の仕事は、車の不具合を直すだけではありません。車の状態を正しく見極め、故障や事故につながる不具合を未然に防ぐことも、自動車整備士の大切な役割です。そのため、資格を持っていることは、お客様にとっても「安心して車を任せられる」という信頼の証になります。

自動車の技術が日々進化し、構造が複雑化している今、確かな知識と技術を持つ整備士の需要はますます高まっています。さらに、自動車整備士の資格は一度取得すれば全国どこでも通用するため、引越しやライフスタイルの変化があっても、仕事を見つけやすい点も魅力です。

手に職をつけて安定して働きたい人にとって、自動車整備士は生涯の武器となる心強い資格といえるでしょう。

資格で何が変わる?各級の仕事内容と難易度を比較

自動車整備士の資格には、1級、2級、3級に加えて、特定分野に特化した特殊自動車整備士というものもあります。それぞれの資格によって任せてもらえる仕事の範囲や試験の難易度が大きく変わってきますので、順番に見ていきましょう。

資格の種類主な仕事内容受験資格(働きながらの場合の目安)合格率
3級基本的な整備(オイル・タイヤ交換など)6ヶ月以上の実務経験60〜80%ほど
2級ほとんどの修理を一人で完結できる(車検、複雑な修理)3級合格後、さらに2年以上の実務経験50〜90%程度
※実施時期により変動
1級(小型)高度な故障診断、アドバイザー業務2級合格後、さらに3年以上の実務経験筆記試験は約50%程度
口述試験もあり難関
特殊電気装置や車体(板金・塗装)などの専門分野未経験の場合、1年4ヶ月以上の実務経験各分野による
※合格率は実施時期によって変動します。

自動車整備士資格の特徴と「任される仕事」の違い

各級の自動車整備士の資格を持つことで、実際の現場でどのような作業を任せてもらえるようになるのか、その違いを詳しく解説します。

3級自動車整備士(未経験から目指す、プロへの第一歩)

未経験から資格取得を目指す際の第一歩となるのが、3級自動車整備士です。この資格はガソリン、ディーゼル、シャシ、二輪の4種類に分かれています。

3級を取得すると、オイル交換やタイヤ交換といった一般整備を一人で任せてもらえるようになります。簡単な定期点検なども担当できるようになるため、現場で車に触れながら経験を積む機会が増えるでしょう。

働きながら3級自動車整備士の資格を取ることが、プロの自動車整備士としてのスタートラインになります。

2級自動車整備士(就職・転職で一番求められるスタンダード資格)

自動車整備士の資格のなかでも、就職・転職で評価されやすいのが「2級自動車整備士」です。ガソリン、ディーゼル、シャシの3種類があります。

2級を取得すると、車検に関わる点検やエンジン周りの整備など、担当できる作業の幅が大きく広がります。また、整備の品質や安全性を管理する責任者である「自動車整備主任者」を目指す上でも不可欠です。

現場の第一線で活躍し、将来のキャリアアップを図る上で、2級自動車整備士はなくてはならない資格といえます。

1級自動車整備士(高度な整備・診断に対応する上位資格)

高度な整備・診断に対応できる証明として、1級自動車整備士の資格があります。試験の難易度は非常に高いものの、この資格を持っていれば企業からも評価されやすくなります。

制度上はいくつかの種類がありますが、現在試験が行われ、取得できるのは「1級小型自動車整備士」の資格のみです。

1級を取得すると、複雑なコンピューターシステムや自動運転など、最先端の車の高度な故障診断ができるようになります。加えて、環境問題や安全基準に関する深い知識も身につくため、車の状態を正確に見極め、より適切な整備方法を提案できる力も養われます。

高度な整備や診断を担い、トップレベルの整備士としてキャリアアップを目指す人にとって、1級自動車整備士は大きな強みになる資格です。

特殊自動車整備士(特定の分野を極めるスペシャリスト)

特定の分野を極めるスペシャリストのための資格が、特殊自動車整備士です。特殊整備士は自動車タイヤ整備士、自動車電気装置整備士、自動車車体整備士の3つに分けられます。

自動車電気装置整備士

自動車電気装置整備士は、エアコンやカーナビ、バッテリーといった電気まわりのトラブルを解決するプロの証です。2級自動車整備士の資格があればできる仕事ではありますが、この専門資格を持つことでさらに深い知識と技術を証明できます。

自動車車体整備士

自動車車体整備士は、事故などで傷ついた車のボディやフレームを修復する技術を証明する資格です。単に表面のへこみや傷をきれいに直すだけでなく、車が再び安全に走行できるよう、目に見えない骨格部分まで正確に修復できる高度な技術を持っていることを裏付けます。

板金や塗装の作業自体は無資格でも行えますが、お客様にとって大切な愛車を預ける際の不安は大きいものです。

自動車車体整備士の資格を取得していれば、確かな知識と技術を持つ職人であることを客観的に示し、お客様に安心感を与えられるでしょう。

自動車タイヤ整備士

自動車タイヤ整備士は、2000年(平成12年)を最後に現在は国家試験が行われていません。この資格は、タイヤの適切な選び方や安全な交換作業に関する専門知識・技術を証明するものでした。しかし、現在は無資格でも作業が可能であり、自動車整備士の資格取得時に必要な知識を得られることから試験が行われなくなりました。

各級を受験するための「受験資格」

自動車整備士の資格は、誰でもいきなり好きな級を受けられるわけではありません。資格の種類に応じて、厳格な受験資格をクリアしていく必要があります。自分がどの級を受験できるのか、以下の表で確認しておきましょう。

資格の種類受験資格(実務経験の条件)
3級未経験の場合、整備工場などで6ヶ月以上の実務経験
2級3級合格後、さらに2年以上の実務経験
1級2級合格後、さらに3年以上の実務経験
特殊未経験の場合は1年4ヶ月以上の実務経験
出典:一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会「資格取得の過程(学科試験の場合)」より作成(https://www.jaspa.or.jp/mechanic/faq/

なお、国土交通大臣の指定を受けた、自動車の専門学校で所定の課程を修了すると、実務経験がなくても卒業と同時に試験の受験資格が与えられるケースがあります。

試験はいつ、どんな形式で行われる?

自動車整備士の資格試験は、基本的に年に2回、春と秋に実施されます。試験の内容は、車の仕組みや法律を問うマークシート形式の筆記試験と、工具を実際に使う実技試験の2つがあります。筆記試験と実技試験の両方に合格すると、自動車整備士資格を取得できます。

各級の合格率と難易度の目安

自動車整備士の資格は、実務経験を積めば誰でも受かるというものではありません。級が上がるにつれて専門性は高まり、難易度も上がります。各級の合格率や難易度については、以下の表を参考にしてください。

資格の種類合格率の目安難易度と対策のポイント
3級65〜80%程度基礎をしっかり学べば十分に一発合格が狙える。
2級90%以上受験者の多くが専門学校等で学んでいるため、合格率は高い傾向にある。過去問題の徹底した対策が鍵になる。
1級50%(筆記試験)十分な知識と対策が求められる難関。筆記試験合格後には、面接のように直接質問に答える「口述試験」もある。
出典:一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会「令和7年度第2回(第112回)自動車整備技能登録試験「学科試験」の試験結果について」より作成(https://www.jaspa.or.jp/mechanic/result/2025_2nd.html)

未経験から自動車整備士の資格を取るには?最短で合格する2つのルート

未経験から自動車整備士の資格を目指す場合、大きく分けて2つのルートがあります。ご自身のライフスタイルに合わせて最適な方法を選びましょう。

【ルート1】専門学校を卒業:実技試験の免除を狙う

国土交通大臣が指定する専門学校に通う最大のメリットは、卒業と同時に受験資格を得られ、実技試験が「免除」される点です。実技の練習に時間を取られないため、筆記試験の勉強だけに集中でき、未経験から最短で2級や1級の自動車整備士資格を目指すことができます。

また、専門学校には同じ目標を持つ仲間がたくさんいるので、モチベーションを保ちやすいのも魅力です。就職サポートを手厚く行っている学校も多いため、将来ディーラーや整備工場で働きたいと考えている人には、かなり有利な選択肢といえるでしょう。

【ルート2】働きながら:経験を積んで取得する

無資格の状態で整備工場などに就職し、給料をもらいながら自動車整備士の資格取得を目指す方法もあります。未経験から3級を受験するには6ヶ月以上、そこから2級を目指すにはさらに2年の実務経験が必要となり時間はかかりますが、金銭的な負担が少ないのがメリットです。

働きながら取得を目指す人の多くは、自動車整備振興会が実施する講習(技術講習)を利用します。これを受講することで実技試験が免除されるため、働きながらでも筆記試験の対策に集中できます。

最近は、受験費用や受講費用を会社が負担する「資格取得支援制度」を用意している職場も多くあります。働きながら資格取得を目指す場合は、こうした制度の有無を確認しておくとよいでしょう。

資格取得支援制度がある職場を選ぶ際は、以下の点を確認しておくと安心です。

  • 受験費用や受講費用を会社が負担してくれるか
  • 勉強時間を確保しやすい勤務体制か
  • 先輩整備士から実務を教えてもらえる環境があるか
  • 資格取得後に手当や昇給があるか

自動車整備士資格を取得する3つのメリット

資格がなくても工場の手伝いはできますが、実際に自動車整備士の資格を手にすると、待遇やキャリアの選択肢が広がります。その具体的なメリットを解説します。

毎月の「資格手当」で給料がアップ

多くの企業では、自動車整備士の資格を持っているだけで、毎月の基本給とは別に資格手当が支給されます。3級、2級、1級とランクが上がるごとに手当の額も増えていくため、年収ベースで見ると無資格のスタッフとは大きな差がつきます。

基本給の引き上げや昇格の条件にもなりやすいため、将来的に工場長などの高収入のポストを狙うためにも自動車整備士の資格は必須といえます。

担当できる修理の幅が広がる

自動車整備士の資格を取ることで、先輩のサポート役から卒業し、無資格のままでは任せてもらえない責任ある点検や修理の作業もできるようになります。自分の判断で整備を進められる場面が増え、仕事のやりがいにもつながります。

現場に欠かせない中心メンバーとして頼られるようになり、ハイブリッド車や電気自動車など、最新の車に触れるチャンスが増えるのも魅力です。

就職・転職活動で「強力なアピールポイント」になる

現在、整備士の数はかなり不足しているため、自動車整備士の資格を持っているだけでも、就職・転職時のアピール材料になります。面接のときに技術の証明ができ、即戦力として高く評価されるため、給料や休日などの条件が良い大手のディーラーや優良な工場への転職も有利になるでしょう。

日本全国で通用する国家資格のため、引っ越しやライフスタイルの変化などで転職を余儀なくされた際にも、仕事の選択肢を広げやすくなります。

自動車整備士の資格とあわせて取りたい!年収アップにつながる関連資格

自動車整備士の資格に加えて、さらに自分の価値を高めてくれる関連資格を取得することで、評価や待遇のさらなる向上が期待できます。

自動車検査員

車両が国の安全基準を満たしているか最終チェックを行う責任者で、法律上「みなし公務員」として扱われる、重要な責任を担う資格です。

【業界での価値】

自社で車検を完結できる工場(指定工場)には、法律上必ず自動車検査員を配置しなければならないため、転職で強力なアピールポイントになります。

【取得するための条件】

1級または2級の自動車整備士資格に加えて、現場リーダー(整備主任者)として1年以上の経験と運転免許が必要です。

【資格の取り方】

 国(地方運輸局)が行う講習を受講し、そのあとの修了試験に合格すると取得できます。

【最大のメリット】

手厚い資格手当によって大幅な収入アップが見込めるうえに、力仕事が減るため、年齢を重ねても体への負担を少なくして長く働き続けられます。

【この資格がおすすめの人】

  • 車検業務に関わりたい人
  • 工場内で責任ある立場を目指したい人
  • 年齢を重ねても整備業界で長く働きたい人

電気自動車等整備特別教育

電気自動車(EV)やハイブリッド車には、感電の危険が伴う強力なバッテリーが搭載されています。

この安全教育は、こうした車両(法律上の「低圧電気」に該当)の整備や点検を安全に行うため、作業者に受講が義務付けられているものです。

【業界での価値】

電気自動車(EV)やハイブリッド車が主流になっていくなかで、高電圧部分を安全に扱うための知識はますます重要になります。

【受講・取得するための条件】

自動車整備士のような国家資格ではなく、年齢や実務経験などの厳しい条件もないため、実は未経験からでもすぐに受講することが可能です。

【資格の取り方】

難しい試験に合格する必要はなく、専門の機関などで1〜2日程度(学科と実技)の講習を受講するだけで取得できます。

【最大のメリット】

「次世代の高度な技術を搭載した車を安全に扱える証明」になるため、今後の自動車業界で役立つ知識として評価されやすくなります。

【この資格がおすすめの人】

  • EVやハイブリッド車の整備に関わりたい人
  • 今後の自動車業界で需要の高いスキルを身につけたい人
  • 転職時のアピール材料を増やしたい人

まとめ|自動車整備士資格を取得して、安定したキャリアを目指そう

多くの業界で人手不足が叫ばれていますが、それは自動車業界も同じです。だからこそ、自分の知識や技術をしっかりと証明できる「自動車整備士」の国家資格は、これからのキャリアにおいて強い武器になります。

最初は3級からのスタートだとしても、現場で経験を積みながら2級、1級へとステップアップしていけば、任される仕事の幅も、毎月の資格手当も確実に増えていきます。その先には、自動車検査員やEV向けの資格など、自分の価値を高める道も用意されています。

資格を取るための道も、仲間と一緒に基礎からしっかり学べる「専門学校ルート」と、働きながら無理なく学ぶ「技術講習ルート」の2つから、自分のライフスタイルに合わせて選べます。

働きながら整備士を目指す方は、資格取得支援制度の有無や、実務経験を積みやすい環境が整っているかを確認しながら職場を選ぶことが大切です。まずは、未経験者を受け入れている求人や、資格取得をサポートしてくれる整備工場を探すところから始めてみましょう。

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よくある質問

Q まったくの未経験・無資格からでも、働きながら資格は取れますか?どれくらいの期間がかかりますか?
A

未経験でも、整備工場で働きながら自動車整備士の資格を取得することは十分に可能です。
まずは現場で6ヶ月以上の実務経験を積むことで、3級自動車整備士の受験資格を得られます。その後、さらに2年の経験を積んで2級を目指す流れとなるため、2級取得まではおよそ3年から5年を見込んでおくとよいでしょう。

Q 自動車整備士の資格に有効期限や更新手続きはありますか?
A

自動車整備士は、一度取得すれば有効期限はなく、更新の手続きも一切不要です。
そのため、取得した資格は年齢を重ねても一生モノの武器として使い続けることができます。ただし、次々と登場する新しい車の技術に対応するため、定期的な講習などで知識をアップデートしていく姿勢は大切です。

Q 電気自動車(EV)が増えると、これまでの自動車整備士資格は役に立たなくなりますか?
A

電気自動車(EV)が普及しても、これまでの自動車整備士の資格が無駄になることは決してありません。
動力源が電気に変わっても、タイヤやブレーキ、サスペンションといった車の基本構造は変わらないからです。自動車整備士としての基礎技術をベースに、電気自動車向けの特別講習を追加で受けることで、これからの時代により求められる人材になれます。

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今岡卓也

今岡卓也

2級自動車整備士 / テクニカルスーパーバイザー

複数業界での就業経験を経た後、自動車整備の職業訓練校を卒業。2016年に2級自動車整備士の資格を取得し、大手自動車メーカー系ディーラーにて整備士として約3年間勤務。2019年に株式会社アミークスに入社し、前職での自動車整備の知見を活かしてホイールリペアのテクニカルスーパーバイザーとして活躍。加盟店への技術指導を通じて培った実践的なノウハウをもとに、他分野の技術習得にも取り組み、現在はウッド&サッシリペアのテクニカルスーパーバイザーを務める。