自動車整備士になるには?資格・手順・年収をわかりやすく解説
今岡卓也
2級自動車整備士 / テクニカルスーパーバイザー
自動車整備士になるには、国家資格が必要です。
「未経験からでも目指せる?」
「資格取得まで何年かかる?」
と不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、未経験から自動車整備士になるにはどうすればいいのか、資格取得の流れ、年収・将来性までをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 自動車整備士になるための具体的な方法
- 資格の種類と取得までのステップ
- 平均年収や将来性
この記事を読めば、未経験から最短で自動車整備士を目指す道筋がわかります。
自動車整備士とはどんな仕事か

自動車整備士は、車の点検・整備・修理などを専門に行う技術職です。ドライバーが安心して車に乗れるよう、車の状態を確認し、不具合があれば修理や調整を行います。
主な業務内容は以下の通りです。
【自動車整備士の主な業務】
- 点検整備(車検・定期点検)
- 分解整備(特定整備)
- 故障・事故修理
近年は、自動車の電子制御化が進み、整備の現場でもデジタル機器を活用した点検・診断が重要になっています。令和6年10月からは、車検や定期点検の際に、車の電子制御装置に異常がないかを確認する「OBD検査」も導入されました。
そのため、現代の自動車整備士には、工具を使った整備技術に加えて、診断機を正しく扱う知識や、不合格となった際に原因を見極めるための専門知識も必要とされています。
「車を直す」以上の価値がある仕事
自動車整備士の仕事は、ただ「車を直す」だけではありません。
車のことで困っているお客様に寄り添い、安心を届ける大切な役割もあります。「なぜ調子が悪かったのか」「どこを直したのか」をわかりやすく説明することで、お客様から「ありがとう」と感謝されることも多く、大きなやりがいを感じられます。
また、私たちの生活を支えるトラックやバスなどが、毎日安全に走れるように支えるのも自動車整備士の仕事です。
このように、「自動車整備士」という仕事は、車を通して人々の暮らしや社会全体を支える、とても価値のある職業です。
EV時代でも必要とされる理由
自動車整備士の重要性は、時代の変化とともにますます高まっています。
その背景にあるのが、目覚ましい技術の進歩です。最近では、電気自動車(EV)やハイブリッド車、自動運転技術を搭載した車が当たり前のように街を走るようになりました。
このような変化によって、これからの自動車整備士には、単に故障を直すだけでなく、複雑なシステムを理解し修理する「高度な技術者」としての力が求められています。
日本はもともと車の保有台数が多く、点検や修理のニーズは常に安定しています。時代のニーズに合わせた新しい技術を身につけることで、これからも頼りにされる存在として活躍し続けられるでしょう。
自動車整備士になるには?2つのルートを徹底比較

自動車整備士になるには、主に2つのルートがあります。勉強に専念して効率よく資格取得を目指すのか、それとも現場で経験を積みながら知識や技術を身につけるのか、自分の希望やライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。
最短で資格を取得:専門学校ルート
最も一般的で効率よく資格を取得できるのが、自動車整備士養成の専門学校に通う方法です。
専門学校では以下のような内容を学びます。
【専門学校で学べる内容】
- エンジン構造や整備技術
- 電気・電子制御
- 車検・法規
- 実習による実践スキル
2年間(または4年間)で体系的に学べるため、未経験でも安心して技術や知識を身につけることができます。また、卒業と同時に国家試験の受験資格が得られる点も大きなメリットです。
取得できる資格の級は、学校の年数によって異なります。2年制の専門学校(または自動車短期大学)では2級の受験資格が得られ、4年制の専門学校では2年次修了時に2級を取得し、4年次には1級の受験資格が得られます。なお、いずれも実技試験が免除されます。
働きながら取得を目指す:実務経験ルート
整備工場やディーラーに就職し、実際の現場で経験を積みながら資格取得を目指す方法です。
このルートの良さは、働きながら生きた知識や技術を身につけられる点にあります。一方で、国家試験の受験資格を得るためには一定期間の実務経験が必要なため、資格を取得できるまでに時間がかかるという側面もあります。
【受験資格】
- 3級自動車整備士:実務経験6ヶ月以上
- 2級自動車整備士:3級合格後に2年以上の実務経験
- 1級自動車整備士:2級合格後に3年以上の実務経験
資格取得までに期間を要しますが、プロの仕事を間近で学びながら着実にスキルアップできるため、何より「現場での実践力」を重視したい方に適したルートです。
自動車整備士になるにはどの資格が必要?1級・2級・3級の違いをわかりやすく解説

自動車整備士になるには、国家資格を取得しなければなりません。自動車整備士の国家資格は、1級・2級・3級などの区分に分かれています。それぞれ扱える作業の範囲や求められる知識の深さが異なるため、自分の目指すキャリアに合わせてステップアップしていくことが大切です。
ここでは、各級の特徴や違いについてわかりやすく解説します。
1級自動車整備士|トップレベルの技術者を目指す
1級自動車整備士は、整備士資格の中でも最上位に位置する資格です。
特徴は以下の通りです。
【1級自動車整備士の資格の特徴】
- 高度な故障診断能力が求められる
- 電子制御や新技術への対応力が必要
- 管理職・指導者としての役割も担う
1級の取得難易度は高く、2級の取得に加えて、所定の実務経験が必要です。しかし、現在の制度では「1級でなければできない作業」はなく、担当できる基本的な整備業務の範囲は2級と大きく変わりません。
そのため、現場では「実務上は2級があれば十分」と考える方も多く、整備要員全体でみると、1級自動車整備士の割合は4%以下にとどまっています。
一方で、将来的にキャリアアップを目指したい方や、管理職・指導者として活躍したい方にとっては、自身の技術力や専門性をアピールするうえでも役立つ資格といえるでしょう。
参考:国土交通省「自動車整備事業場に従事する整備要員数と自動車整備士数」
2級自動車整備士|まず取得したい定番資格
最も多くの自動車整備士が取得しており、現場の主力として活躍しているのが2級自動車整備士です。
この資格があれば、車の基本的な整備業務を一通りこなせる知識と技術を持っていることの証明になります。ディーラーなどの就職・転職でも非常に有利に働くため、プロの自動車整備士になるには、まずは2級の取得を目標にするのが一般的です。
3級自動車整備士|未経験からのスタートライン
3級は、自動車整備の基礎知識を証明するための、いわば入門編の資格です。
主な業務は先輩の補助的な作業が中心となりますが、自動車整備士としての第一歩を踏み出すためには欠かせません。未経験から働き始める場合、まずはこの3級から取得して、着実に現場の感覚を身につけていくケースも多く見られます。
未経験からでもOK!自動車整備士になるまでの具体的な4ステップ

自動車整備士になるには、大きく分けて4つの段階を踏む必要があります。未経験からプロを目指すために必要な流れを、順を追って見ていきましょう。
Step 1:進路を決める(専門学校または就職)
まずは、自分に合ったスタート地点を選ぶことから始まります。できるだけ早く資格を取りたいなら専門学校へ通うのが近道ですし、すぐに現場で働いてみたいなら、整備工場などに就職して実務経験を積む方法もあります。自分の生活スタイルや将来の計画に合わせて、最適な道を選びましょう。
Step 2:必要な知識・経験を身につける
選んだルートに合わせて、必要な準備を進めます。専門学校なら決められたカリキュラムをしっかりと修了し、実務ルートなら規定の年数、現場での経験を積み上げます。この時期に、車の構造や整備の基本をしっかりと自分のものにすることが大切です。
Step 3:国家試験に合格する
受験資格を得られたら、いよいよ国家試験に挑戦です。試験には、知識を問う「学科試験」と、実際の作業スキルを確かめる「実技試験」の2種類があります。合格を目指して、計画的に試験対策を行いましょう。
Step 4:登録して正式に自動車整備士になる
無事に試験に合格した後は、登録の申請を行います。この手続きを済ませることで、正式に自動車整備士としての資格が与えられます。これで、プロの自動車整備士として活躍できるようになります。
年収・キャリアパス(キャリアの広がり・独立など)

自動車整備士としての将来を考えるうえで、収入事情やどのようなキャリアが描けるのかは気になるポイントです。ここでは、実際の年収の目安と、将来の可能性について解説します。
年収の目安|経験・職場でここまで差が出る
自動車整備士全体の平均年収は約443万円となっています。しかし、これはあくまで平均であり、働く環境による収入の差は小さくありません。例えば、大手ディーラーに勤める場合の平均年収は約535万円ですが、中小企業の場合は約401万円で、100万円以上の開きが出ることもあります。
また、年齢や経験年数も収入に直結します。20代の若手では平均で約350万円からのスタートとなりますが、経験を積んで50代を迎える頃には約510万円まで収入が上がることが一般的です。
参考:日本自動車整備振興会連合会「令和7年度 自動車特定整備業実態調査」、自動車整備技術の高度化検討会「令和5年3月 自動車整備の高度化に対応する人材確保の対策【中間取りまとめ】」
年代別のさらに詳しい平均年収や、将来を見据えて収入を伸ばすコツを知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
自動車整備士は稼げる?年収を上げるための具体的な4つの方法
より高い年収を目指すためには、いくつかの明確なステップがあります。
【年収を上げるためのステップ】
- 上位資格(1級、2級)の取得
- 専門スキルの習得(電装・EVなど)
- 管理職への昇進
- 転職による条件改善
日々の業務を通じて着実にスキルと経験を積み上げていくことで、収入を大きく伸ばすことは十分に可能です。
将来どうなる?キャリアパスと年収アップのルート
自動車整備士のキャリアパスは、現場での整備業務だけにとどまりません。
現場のトップとして工場長やリーダーを目指す道はもちろん、ディーラーでお客様対応や店舗運営を担うサービスマネージャーへの転身も考えられます。
また、自身の豊富な知識と技術を活かし、技術指導者や教育担当として後進の育成にあたることもできます。
自分の整備工場を開業する選択肢も魅力的です。ただし、独立には確かな整備技術だけでなく、資金の準備や経営に関する知識も欠かせないため、将来を見据えて十分な準備を進めることが成功の鍵となります。
よくある質問
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Q 自動車整備士になるには何年かかりますか?
-
A
最も一般的な専門学校ルートの場合、最短2年で資格取得が可能です。卒業と同時に2級自動車整備士の受験資格を得られるため、効率よく資格取得を目指せます。
一方、働きながら資格取得を目指す場合は、整備工場などで一定期間の実務経験を積む必要があり、2級の受験資格を得るまでに3年以上かかるケースが一般的です。
「できるだけ早く資格を取りたい」「未経験で基礎から学びたい」という場合は専門学校、「働きながら目指したい」場合は実務ルートが向いています。
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Q 未経験からでも自動車整備士になれますか?
-
A
自動車整備士になるには、必ずしも経験が必要なわけではなく、未経験からでも目指すことは十分可能です。
実際、多くの自動車整備士が未経験からスタートしています。特に専門学校では基礎から学べるカリキュラムが整っているため、工具の使い方や車の構造を知らない状態でも問題ありません。
また、整備工場や中古車販売店の中には「未経験歓迎」の求人も多く、働きながらスキルを身につけることもできます。ただし、最初は補助作業から始まるため、技術が身につくまでに時間がかかる点は理解しておきましょう。
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Q 自動車整備士の資格は独学で取れますか?
-
A
自動車整備士の資格は、完全な独学だけで取得を目指すことはできません。
その最大の理由は、国家試験を受けるために必ず「受験資格」を満たす必要があるからです。どれほど独学で知識を身につけても、この条件を満たしていなければ試験自体に申し込めない仕組みになっています。
確実に資格を取得するには、ご自身の希望やライフスタイルに合わせて、以下のいずれかのルートを選択してください。
【自動車整備士の資格の取得ルート】
・専門学校ルート:自動車整備の専門学校を修了する
・実務経験ルート:整備工場などで一定期間の実務経験を積む
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Q 自動車整備士として独立・開業はできますか?
-
A
はい、自動車整備士として独立・開業することは可能です。実際に、経験を積んだ後に自分の整備工場を持つ方も多くいます。
ただし、独立には技術だけでなく、以下のような要素も必要になります。
【自動車整備士の独立開業に必要なもの】
・開業資金(数百万円〜1,000万円以上)
・設備(リフト・工具・診断機など)
・顧客を獲得するための営業力・集客力
・経営知識(収支管理・人材管理など)
また、車検を扱う場合は「認証工場」や「指定工場」としての認可・指定が必要になるため、一定の設備や人員条件も満たさなければなりません。
そのため、いきなり独立するのではなく、まずはディーラーや整備工場で経験を積み、顧客やスキルをしっかり蓄えることが成功のポイントです。